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アリス
まるで子どものように泣きじゃくって疲れ果てたようだ。そのままアリスをお姫様抱っこでかかえてボクのベッドまで運んだ。きっとアリスも寝ていないのだろう。気持ち良さそうに眠っている。
「ふぅ……」
思ったよりも軽いが、ボクの部屋まで運ぶのはかなり骨が折れた。
照明を消し彼女をひとりで寝かしつけた。
「あッ、そうだ」
スマホの明かりを頼りに、机の引き出しの奥に隠した姫乃アリスのラストAV作品を取り出した。『アリス』と銘打たれてあった。
「これだ」パッケージを見ればすぐにわかる。何度となくお世話になった作品だ。引退した現在も売れ続けていた。
姫乃アリスの自伝的な作品でシナリオもアリス自身が書いている。
さっそくリビングへ戻り、ブルーレイにセットした。
ヘッドフォンを装着しリモコンで再生した。ゆっくりモーター音が響いていく。
ボクは正面のソファに腰をかけた。
音楽と共にイントロが流れていった。
ショパンの『雨だれ』だ。優雅で美しい旋律が心を揺さぶっていく。病弱のショパンが恋人のジョルジュサンドを想って作曲したピアノ曲だ。
雨の降る街並みに『アリス』とタイトルが流れた。
画面は姫乃アリスのシャワーシーンに変わった。カメラは足元から徐々にパンアップしていく。
後ろ姿も美しい。アリスと言えば日本一の美巨乳で有名だが、美尻、美脚でも群を抜いている。特に美尻は日本人ばなれしていた。
惚れ惚れするような美尻だ。シャワーの水滴が艶かしい彼女の全身を濡らしていった。
白い柔肌がほのかに桜色に染まっていく。カメラアングルが顔に切り替わると頬に涙が伝っていった。どうやら泣いているようだ。
やがてシャワーの音が雨音へと変わっていく。
ゆっくりとオーバーラップし、画面は雨の街並みへと移り変わった。
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