ケガの容態

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ケガの容態

「ン、あの人……?」 「セレブなパパさ。オフクロはの愛人だったんだ」  眉をひそめて吐き捨てるようにつぶやいた。 「ヘェ、だからその親に反抗して金髪に染めてヤンキーになったの?」  アリスは少し嘲るように笑みを浮かべた。 「ほっとけよ。悪いけど、お茶をもてなすほど余裕はないから、帰ってくれよ」  手で追い払うような仕草をした。 「フフゥン、構わないわ。なんて期待してないし。部屋はここかしら?」  勝手にドアを開けた。 「おいおい、あのなァ、ゴミ屋敷だから、もういいよ。帰れよ」 「なんで。見られちゃ恥ずかしいエロいディスクでも転がってるのかしら?」  部屋に入り込んだ。見た感じ男の部屋にしては整頓されている。 「ふぅン、うるせぇな。もぉ帰れって」  聖矢は転がるようにベッドへ倒れ込んだ。 「フフ、イヤよ。ちゃんと容態を診て、骨折でもしてるようなら病院へ行かないとダメよ」 「えェ……、病院なんて行かなくても平気だよ。これくらい。大したケガじゃねえェし」 「ほらァ、治療するから服を脱いで」  アリスは無理やり服を脱ぐのを手伝った。 「おいおい、清楚な顔して大胆だねえェ。パンツも脱がす気かァ。アリスゥ?」  まだ聖矢は強がりを言うだけ余裕があるようだ。 「おバカさんね。それにしても誰とケンカしたの」  着替えを済ますと(たず)ねた。 「さァな……」あまり答えたくなさそうだ。 「なによ。知らない人たちとケンカしてボロボロにされたの?」 「ふぅン、おおかたレッドスパイダーの連中だろう」 「な、レッドスパイダーって、あの半グレ集団の……?」 「ああァ、何人か、腕に紅い蜘蛛のタトゥをしてたからな。まァ向こうはもっとボロボロだろうけどなァ。今ごろ病院さ」 「紅い蜘蛛のタトゥ……?」 「一応、これでも虐殺天使(ジェノサイドエンジェル)総長(アタマ)なんだ」 「ジェノサイド・エンジェル? 虐殺(ぎゃくさつ)天使って、ずい分物騒なネーミングねえェ……」
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