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流れる涙を拭うハンカチが横から出てきて、横を見るとさっきの子達が恐る恐るハンカチで俺の涙を拭ってくれた。
「ありがとうございます」と笑い掛けると、緊張して強張っていた顔が和らいだ。
お狐様は薬の箱を眺めていて、中から錠剤を取り出していた。
慣れていないのか、何度も箱を確認してから水と一緒に渡された。
薬を飲むと、だんだんと眠くなってきて暖かな布団に横になった。
「ゆっくり、おやすみ」
頭を撫でられて、瞳を閉じると意識がだんだんと薄れてきた。
目が覚めたら、きっと夢で…俺の目の前はまた暗い世界が待っている。
怖い、嫌だ…俺はもう、一人になりたくない。
ふと、意識が戻ってきて目の前に見えたものが不思議だった。
真っ白な着物がある、そこから見えている手をずっと握っていたみたいだ。
着物に触れると、俺が握っている手にもう片方の手を重ねてきた。
「おはよう、気分はどう?」
「お狐…さま……ぁ」
そこにいたのは人の姿をしたお狐様で、すぐに昨日の事を思い出して顔を青くした。
無礼な事をいろいろとしてしまった…どうしよう、呆れられたのかもしれない。
慌てて起き上がると、頭が重くなってグラグラしてきた。
お狐様に支えられて、また迷惑を掛けてしまった罪悪感でいっぱいになる。
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