第一話

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「私達一族は縁を大切にする種族なんだ、だから縁を結べば君と共にいる事を誰にも何も言わせない」 そう言ってお狐様は、俺を包み込むように抱きしめた。 縁というのを結べば一緒にいられる、それは本当なのだろうか。 「君の悲しむ姿はもう見たくないんだ」と、耳元で呟いた。 お狐様には人とは違う、神様のような不思議な力があるのかもしれない。 本当に俺を何処かで見守っていて、俺の事を見ていられなくなったのかもしれない。 お狐様の前で泣いてばかりだったから、心配掛けてしまうのは当たり前だ。 ……それじゃあダメなのに、俺だってお狐様には笑っていてほしいのに… 「どうしたら縁を結ぶ事が出来るんですか?」 「私達一族のところに嫁入りしてきてはくれないか?」 「……嫁?」 嫁って、お嫁さんの事…だよな…あれ?俺、男だけどお嫁さん? もしかして、お狐様達にとって嫁って別の意味なのかもしれない。 お狐様を見ると、真剣な顔をして俺を見つめていて冗談には見えなかった。 縁を結べばこれからも一緒にいられる、俺の人生全てを捧げる覚悟はとうの昔に出来ている。 俺が頑張ってこれたのも、お狐様がいてくれたからだ。 どういう意味での嫁でも構わない、俺はお狐様達と縁を結ぶ。 「どうやって結べるんですか?」 「そうだな、婚儀には準備がある…私達は兄弟全員で一本の縁なんだ、だから兄弟全員に嫁入りしてもらいたいんだ」 「そんな事が出来るんですか?」
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