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「私達一族は縁を大切にする種族なんだ、だから縁を結べば君と共にいる事を誰にも何も言わせない」
そう言ってお狐様は、俺を包み込むように抱きしめた。
縁というのを結べば一緒にいられる、それは本当なのだろうか。
「君の悲しむ姿はもう見たくないんだ」と、耳元で呟いた。
お狐様には人とは違う、神様のような不思議な力があるのかもしれない。
本当に俺を何処かで見守っていて、俺の事を見ていられなくなったのかもしれない。
お狐様の前で泣いてばかりだったから、心配掛けてしまうのは当たり前だ。
……それじゃあダメなのに、俺だってお狐様には笑っていてほしいのに…
「どうしたら縁を結ぶ事が出来るんですか?」
「私達一族のところに嫁入りしてきてはくれないか?」
「……嫁?」
嫁って、お嫁さんの事…だよな…あれ?俺、男だけどお嫁さん?
もしかして、お狐様達にとって嫁って別の意味なのかもしれない。
お狐様を見ると、真剣な顔をして俺を見つめていて冗談には見えなかった。
縁を結べばこれからも一緒にいられる、俺の人生全てを捧げる覚悟はとうの昔に出来ている。
俺が頑張ってこれたのも、お狐様がいてくれたからだ。
どういう意味での嫁でも構わない、俺はお狐様達と縁を結ぶ。
「どうやって結べるんですか?」
「そうだな、婚儀には準備がある…私達は兄弟全員で一本の縁なんだ、だから兄弟全員に嫁入りしてもらいたいんだ」
「そんな事が出来るんですか?」
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