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2二人のの過去
今から10年ほど前、大月とXがちょうど20歳になり、警察学校に入ったときのこと。
その日もXは余裕を持って1秒の狂いもない正確な時間で5分前につくように歩いていた。
やっぱりな、とXは思った。いつもいつも人の計画を壊してくる予測不能生物が、来る。
Xが悟りに入る直前まで考えた時、その悟りを粉々に砕くのんびりとした声が聞こえた。
「おっはよぉー江角クゥン」とのんきに声をかけてくるのは、案の定大月だ。
Xは鬱陶しいという冷たい目線を大月に向けるが、のんきな大月には通じない。
この時、大月はXほどではないが、かなりい頭脳を持ち、推理力もまあまああった。
しかし、こののんきな大月が冷静な男になるのは、ある日の実務研修のことだった。
ある日、大月とXは実務研修を言い渡され、近所の交番へ勤務していた
そんなのどかなこの街に、事件なんて物騒なものあるはずない、誰もがそう思っていた。
その誰も、にXと大月は含まれていなかった。
大月とXは気づいていたのだ。一人の男が不自然な動きをするのを。大月たちの予想通り、事件は起こった。
現場はバーの地下。何者かによって取引が行われたらしい。それに気づいた店長が警察に連絡しようとしたところ、感づいた取引の一人が銃を乱射した。
そのまま犯人は逃走し、その後捕まったが、多数の死傷人を出した。
この時大月は足をけがして歩きにくくなっていた。そのときに事件は起きたのだ。そして、更に悲しいことに、死傷者の中には、怪我を追ったX、急所を打たれて死んだ親友の沖田。
Xの怪我は完治したが、親友を失った大月の心には影がさしていた。
自分があのときに飲まなければ。
そう、あの足の怪我は大月上司に内緒で一杯やったときに酔ってぶつけたものなのだ。
自分が飲まなければ。その思いは、いつまでも抜けない棘のように大月の心に深く突き刺さり、大きな傷を残した。
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