処し難(にく)い男

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毛根達哉(もうねたつや)と言う朴念仁が居る。やつは独自路線を敷き、我が道を行く。熊谷さんは達哉のやり方に訝しくはしない。「達哉が居ないとバカばっかりだな。空輝は結局、私と同じ力を持ちたがるしな。毛根ならどうかな?徴収しやしないか?あっははっ!空輝。お前はどうして、片手でスチール缶を潰せるんだよ?」熊谷さんは笑んでいた。熊谷さんは1tの岩石を持ち上げるじゃないか?と私は思っていた。「熊谷さんの下で働くには絶対必要な力でしょ?」私は手間を省く様に熊谷さんに問うた。「バカかっ!」熊谷さんは更に溌剌とした返事をし、腕組みをした。「だって、熊谷さんは力持ちじゃないですか?私はバカではないですよ。」酷く清涼な一面に、私は頬を紅潮させていたのだった。
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