1人が本棚に入れています
本棚に追加
奪われた羽。鬼の仕業だ。私はそれを気にしていた。羽も生えぬ頃はそう、生えれば良い。空を飛んでみたい。と思うのだ。しかし私はどうだ?幾許かの間に間に空を飛び、羽を奪われた…。「おー…達哉じゃないか。どうした?空輝の羽でも見に来たか。あっははっ!達哉は空飛びたいんだったよな。」熊谷さんは毛根達哉、達哉に気付き、声掛けた。達哉は百目の妖怪であり、通常時は三つ目の状態だった。「あっははっ!違うよ。」達哉は額の目で私を見た。私に気付いて居るのか…。「空輝かっ!あっははっ!空を飛んでいた人間はやはり、空気…雰囲気が違うな。空を飛んで、違う景色が見てみたい。と願うものだよな。」監視カメラみたいな達哉の視野は警備の要であり、等身大の専制主義として持て囃されていた。「あっははっ!元々は空を飛ぶ様な義務はなかったよ…。達哉、空を飛ぶことは素晴らしい。」私は屈託のない応えを示した。「あっははっ!喋り過ぎたな。皆そうだよ。」達哉は珍しく話し、私は百目の柵を不謹慎にも疎んでいた。小柄な達哉は警備隊を数百も構える鬼人でもあった。
最初のコメントを投稿しよう!