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「何逃げてんの?」
「っ、先輩がなんかチューニズムなことを話してるのでもう帰ろうかな、と………。」
「ヤバげ?失礼だなぁ。今からここで君の全記憶消してあげても、拷問しても、嬲り殺してあげてもいいんだよ?」
先輩の目が赤く蠢いた。
どうやって発光させているんだろとかいう感情の前に、あ、やば。ガチの目じゃんと恐怖を感じた。
「ムリムリムリ怖いマジちょっとほんとに先輩怖い。ごめんなさいマジごめんなさい。」
自然と言葉が口から滑り落ちた。
先輩の目が黒に戻って、キュッと細まる。
「いいね。従順な子は好きだよ。」
いや怖いかよォ………キャラ変わりすぎだろ。なんなんだよ。誰だよ。天使のような先輩を返してくれ。
「てか、こいつ何も知らないみたいじゃん。説明したげろよ。」
先生ないす。
でももうちょい早く言ってほしかったな…というかこの状況の全てを説明してほしいな。
「ん。それもそうだ。話すか。」
「俺の紹介も頼むぞ。」
「うん。えーと、何から話すかな。まず、俺は吸血鬼。本名はカイ=アンダーライ。この物理教師灰月先生も吸血鬼。本名はルカ=ダークレイク」
まじか。本物吸血鬼。
さっきまでそこそこ本物かどうか怪しいなとか思っていたんだけど、本物だったのか。
吸血鬼ってそんなに身近にいるもんじゃないはずなんだけど。だからモテてたのかな。
てか吸血鬼って人間の学校通うんだ。
「俺は始祖の血……ま、強めの血を引いてる偉めの吸血鬼で、俺のサポートとして灰月が付いてるんだ。」
新事実。吸血鬼社会は階級社会。上下関係はないって 先生が言っていたような気がするんだけど違ったんだ。
あと先輩は紫蘇の血を引いている偉めの人らしい。
紫だったりするのかもしれない。
「人間に吸血鬼だってバレたら、基本的に殺すか記憶消すか飼い殺しにするかのどれかなんだけど、俺結構悠稀のこと気に入ってるし、めんどくさい性格じゃないし、よし殺すくらいなら嫁にしちまえと。」
そこがおかしいんだよ。
「俺男です。」
「知ってるが?」
「先輩、どれだけ愛し合っていようがどれだけ先輩がイケメンだろうが男と男は結婚とかできないんですよ……。あと俺は先輩のことは好きですけど愛してはないんですよごめんなさい。」
「それは、人間の都合だろ?」
うわ、この人ほんとに吸血鬼だ。
「え、でも僕ゲイでもバイでもないし。」
「それは結構どうでもいい。俺は君のその生意気さが好きだから関係ない。」
「ドMか。」
「その生意気顔を見てると泣くまでグッズグズに溶かしたくなる。」
「ドSだった。」
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