先輩が吸血鬼だったら後輩の僕はどう接すればいいんだ

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「これが契約紋。こいつによって、お前は俺に縛られる。あ、俺が触んないと発光しないから、プールとかは全然行っていいけど、一生消えない紋だからな。時々皮膚削って消そうとするバカがいるけど、血の奥深くに刻まれてて削っても意味ないから、そんなことすんなよ。」 「縛られるっていうのは………?」 「体から心まで、なんでも。例えば………ルカ、離していい。」 羽交い締めが解かれた。 「殴りかかってごらん。」 振りかぶった拳は、慣性の法則を無視したように先輩の顔面すれすれで止まった。 「え?」 「気をつけ。お座り。」 体が勝手に動く。 拳は開かされて、体の横にくっついて、足は勝手に折れ曲がって正座になった。 俺を見下ろす先輩。 ニヤッと笑ったそこには―――鋭い牙が見えて。 あ、まじの吸血鬼なんだなって実感した。我ながら遅い。 「これは、ま、なんていうか……仮契約。お前は吸血鬼に定期的に―――そうだな。2日に1回くらいか?血を飲んでもらわないと、体調不良でやがて死ぬ。吸血鬼側に体調不良も伝わらないから、俺らも気づかず、いつの間にか死んでたとかが起こる。でも、俺らには基本的に、飲まないことでデメリットは発生しない。」 「理不尽。」 「それを少しでも解消できる方法があってな。」 「おお、」 「二次契約だ。それをすると、吸血不足による体調不良がこっち側にも伝わる。あとは、吸血鬼の能力の10%がお前にも宿る。だから、端的に言って目が良くなったり、運動神経が上がったり、記憶力が上がる。」 え、それはやりたい!!もうここまで来てしまったら楽しむしかないのかもしれないと、考え方がバグってきているのを実感する。 「その前にだ。俺は今一次契約でちょっと疲れたから、血、頂戴。」 先輩が動けない俺の肩口に牙をあてた。
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