プロローグ

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プロローグ

 あれ……ここは……?  気付けば白い、ただただ白い空間にいた。  いや、白いと感じただけで本当は白くないのかも知れない。  とにかくそこには何もない。 「私の声が聞こえますか」  不意に声が聞こえた。  初めて聞こえたようでもあるし、この空間に来た時から何度も聞こえていたような気もする。或いは、或いはもっと前から繰り返し繰り返し聞こえていたのかもしれない。  その声には何も答えない。  いや、正確にはいつの間にか椅子に座っていた。  周りの誰かが話し始めた。周りの誰かが、と思ったものの見えてはいない。何故かそう感じた。 「・・・がカれハジめて・・・」 「マ・・・はどうにか・・・」 「・・・のクニではニンゲン・・・」 「どうすれば・・・できる」 「ウミのヨウスが・・・」 「私の・・・が・・・ますか」 「・・・ではタマシイがマワら・・・」  会話が聞こえはするが所々途切れて、内容が全く入ってこない。  魂が回らない?どういう意味だ?  耳をそばだててみるものの、変わらずはっきりとは聞こえない。  会話のように聞こえるだけでただの”音”なんじゃないか?  そんなことを思った次の瞬間、パンと風船が割れるような音がしてぼんやりとした意識も消し飛んだ。  もう、あの声も聞こえない。
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