交わり

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交わり

 熱くて、痒くて、そこが、燃えているみたいに疼く。  指を突き入れられるたび、切ないゾワゾワが腰の内側に、お腹に広がり、奥底にいやらしい快感が伝わって……。 「あふ……っ、ン……っ、はぁ、お尻、奥、痒いぃ、やめて……」  嫌がってるのに、インジェンは俺の腰を浮かせたまんま、更に行為を激しくした。  指が二本、三本と増やされて、ヌプ、ヌプとどんどん、塗り込まれる薬の量を足されてゆく。 「あっ、あっ。お尻、広がっちゃう……ダメ、もっ、それ、塗っちゃ、ダメ……!」  奥も、浅いところも、お尻の穴、もう全部ヒリヒリして腫れぼったくなってる。  多分、ヌレヌレになって感じ過ぎて、もうあとひと突きでイッてしまう女の子のあそこ、みたいにされてる。  硬いので、いっぱい擦って掻いて欲しくて、焦れるように。 「アうん……っ!」  舌先でペニスの裏筋からくびれまでを責められながら、特に気持ちいい場所を指先で小突かれて、ハッキリ自分でも分かるぐらい、お尻の穴がギュンと締まった。 「やあっ、いじわる、しないでくださ……っ、あぁ……っ」  身体の自由を奪われて、両手が使えず、うつ伏せにもなれず、足の裏を布団につけて、せいぜいお尻をユラユラ浮かせることしかできない。  しかも、それをする度に、むしろ奥まで指を飲み込んでしまって、逆効果になる。 「ヒ……ん、きもちぃ、もぅ、もう……っ、」  亀頭を強く吸われながら、お腹側にぎゅぅっと指を押し付けられて、あの、訳の分からない感覚がまた襲ってきた。 「やっ、やらぁ……!!」  ある一点にそれが達して、次の瞬間爆ぜたのは、脳みそが溶けるみたいなヤバい快感。 「あ〜〜〜っ……っ、何、これ、や、なに、なに……っ」  勝手にガクガク腰が震えて、泣きじゃくりながら何度も起こる後ろの強い収縮で、うねうねと動き続けるインジェンの指を感じる。  のけぞりながら、どうやら、自分がイッたんだってことに気付いた。……しかも、お尻の方で、派手に……。  男の体の中に、こんな性感帯があるなんて……意味、わからん……反則だろ……。  こんなの知って、その上で、ちんこを奪われたら……完全に、インジェンのちんぽの奴隷になってしまう自分が想像できて恐ろしい。  しかも、出したらスッキリする射精と違って、全然イキ続けるのが止まってない……!  ガクガク震える俺のお尻から、インジェンが指を抜き放つ。 「ンッ……!」  まだユルユルになってるそこは、何も無くなったのに、何かを食むような動きが止まらないのがめちゃくちゃ怖い。  俺の身体なのに、もう、俺の身体じゃないみたいにされてる……。  ブルブル震えてると、インジェンがまた薬壺に指を浸して、今度は俺の上半身に手を伸ばした。 「や、何……? さ、触らな、で」  どこもかしこも感じやすくなってるのに。  逃げたいのに逃げることも出来ず、薬を纏った指が俺の胸に触れる。  周りから乳輪に向かって薬を揉み込み、ヌルヌルを纏わせた親指と人差し指で、張り詰めた乳頭をにゅくにゅくと扱かれた。 「っあ! いやら、やっ……」  さっきにも薬を塗られていたそこは、ビンビンに勃起していて、そこに更に薬を足されたものだから堪らない。  充血し過ぎて、まるで女の子の乳首のように膨れ上がっているそこは、いつもならくすぐったいだけのはずが、まるでちんぽそのものみたいなヤバい感度になっている。  引っ張ったり摘んだりしつこく愛撫されると、ゾクゾクと身体の芯に淫らな感覚を呼び起こされて、喘ぎ声が止まらない。 「おねがっ、インジェ、おっぱい、やぁあ、……っ!」  しかもおかしなことに、そこを刺激されると、一度イッたはずのお尻の奥が、また痒くて仕方なくなって、気が狂いそうになった。 「やっ、おしり、助けて、インジェンん……っ」  乳首をクリクリと指で転がされて、寝台の上でお尻が無茶苦茶に跳ねる。 「あ……ァ……、何かきちゃう……、乳首からおしりになにか、きちゃうから……あんっアッ!」  今度は何も入れられていないのに、のけぞりながら腰の奥でイキ果てて、呼吸もまともに出来なくなった。  汗が滴るほど出て、心臓がバクバクしっぱなしで、身体がすっかり変になってるのが分かる。  これ、本当に大丈夫なのか……心臓麻痺で死なない……?  しかも、またイッたのに、お尻はずうっと疼いたままだから、つらくて仕方ない。  悶絶していると、インジェンは、俺の腫れ上がった乳首をやっと解放してくれた。  でも、それは終わりだったわけじゃなく。  今度は、俺の両脚を片足ずつ持ち上げて、両手を括り付けていた紐の余った部分で、足首もきつく縛り付け始めた。  脚を限界まで頭側に上げて開いて、穴を天井に向けて露わにした、……性処理の道具にされたみたいな、惨めな体勢……を強いられて、頭が真っ白になる。  インジェンはそんな俺の情けない姿を満足げに見下ろして、綺麗な顔にはおよそ似合わない凶暴な雄の先端を、中の薬をトロリと零しながらヒクつく俺のお尻の穴に、ピッタリと押し付けた。 「入れて欲しいか……?」  理性なんてとっくにどこかに行っている俺は、自分の両脚の間で、食い気味に頷いた。 「お願い、です……。お尻……さっきみたいに、気持ちよく、して……、ください……」  自分からもギシギシ尻を前後に揺らして、インジェンの立派な雄に擦り付ける。  俺の穴からこぼれ落ちている媚薬は、彼の亀頭の粘膜にも効くはずで……密かに、それを期待しながら、快楽を拾う。 「……あの男の名を言え」 「それはぁっ、ダメ、です、殿下……っ」 「ならば、ずっとこのままだぞ」  ぷっくりと飛び出した乳首を、爪で弾かれて、ビクン!と大きく跳ねる。  繋げられた手足の重みに耐えかねて、寝台の柱がミシミシ軋む。  俺は涙ぐみながら、相手に訴えた。 「殿下も、お辛いでしょう……? こんなの……。早く、俺の中に来て……入れて……? 好きなんです……インジェン様……」  好き、と言う言葉に、ビクンと反応して、インジェンが固まる。 「……あなたの、これが……あ、あ、あ!」  そのまま、ズプズプと太い肉の杭が俺を貫いて、欲しかったむず痒い場所まで、一気に届いた。 「あー……!」  初めてなのに、媚薬を効かされ、焦らされまくった俺のアナルはすっかり柔らかく蕩けている。  麻酔効果なのか痛みも殆ど無くて、ただ、性の快楽のみに対して貪欲になった肉は、擦られただけで、甘い性感の蜜を撒き散らした。  「ああ、畜生……!!」  本当に、ついうっかり入れてしまったらしい俺の可愛い雛鳥は、身分に似つかわしくない乱暴な言葉で悪態をつきながらも、それを再び抜くことはしなかった。  そのまま、強い感情をぶつけるみたいに乱暴に奥を突かれだして、腹の奥を開かれる苦しさと快感が一気に押し寄せる。 「はあっ、い、ってる……、ずっといっちゃう……っ」  否応なしの絶頂がさざなみのように俺を襲い、脳みそがグズグズに溶けたみたいに、もう何も考えられない。  ただ、もう二度と抜こうって思われないように、俺もしっかりと中の肉で締め上げる。 「はあっ、気持ちいい……っ、お尻にちんぽ入れられるの、はまりそう……っ、ねえ、殿下っ、これっ、外してください……、お願いです……、絶対っ、逃げませんから……っ」  俺の肩に縋りつき、バチュバチュと水音を立てて夢中で挿入しているインジェンに、出来るだけ優しく懇願する。 「っうるさい、うるさい……っ! ああ、リュウ、お前のおかげで全部、何もかもおかしい……っ! こんな、こんなのは、私じゃない……っ」  確かに今のインジェンは、氷の姫の片鱗も、皇子のプライドもない、ひたすらに18歳の少年らしい幼さをあらわにしている。  でも俺は、そんな我慢のきかない、正直で自制のきかない彼が心から愛おしくて仕方なかった。 「ねぇ、はあっ、俺も、インジェンを抱き締めたいんだよ……。だからっ、お願い……っ」  微笑みながら視線で縋ったら、彼は、床に放り出していた護身用の剣を取って、俺の戒めを切ってくれた。 「ああ……っ」  やっとのことで、俺からも、両腕で両脚で、インジェンの身体を掻き抱く。  益々繋がりが深まって、溢れるような愛おしさで、涙が止まらない。  ……俺はまたこの世界に生まれ変わっても、きっと同じ間違いをしてしまうだろう。  氷の仮面で自分を守ってきた、完璧でないこの人が、誰よりも愛おしくて、俺はまた同じ呪いを背負うのだ。  ミイラ取りがミイラになってしまったインジェンも、粘膜から血の巡りに染み込んだ淫らな薬に脳まで侵され、もはや何故、この行為が始まったのかも忘れ果てて腰を振っている。  俺も彼もすっかり正気を失い、その後の長い夜の間、互いの身体を夢中で貪り合った。
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