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「明日から経理部へ異動します。今までありがとうございました」
ようやく異動が決まり挨拶をしてみるも、パートさんたちは最後まで無言でダルそうにしているだけだった。
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「今回も無視されちゃいました」
デスクを整理しながらため息をつくと、横から神妙なうなり声が響いてくる。
「この部署もパート女性の力が強くて君も大変だったな。彼女らは勤続年数が長いから聞けばなんでも分かってありがたい一方、それを鼻にかけて正社員を馬鹿にするところがある」
人事課の吉田課長がそう言いつつ缶コーヒーを手渡してくれる。貫禄たっぷりなこの課長だけは気弱な私に同情の目を向けてくれるようだ。
「しかしだ。次の部署ではもうそんな心配はないから」
「そうなんですか?」
「そうだよ。だから安心するといい」
妙に自信たっぷりに言い切られたが不安しかない。私は明日から勤務する経理課へ思いをはせる。異動先は経理課の中でもダントツに忙しい出納係。しかも係長として勤務することになる。
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