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「今日も疲れた……」
暗い夜道を歩き、アパートに帰り着いた。
俺の部屋は二階なので、カンカンと金属音が響く階段を、疲れた足で上がっていく。
そこまではいつも通りだったが、自分の部屋が視界に入ったところで、ふと立ち止まってしまう。
「なんだ、あれは?」
扉の前に、小包が置かれていたのだ。
いわゆる置き配というやつだ。
数年前にはなかったシステム、あるいは既に存在していたけれど俺が知らなかっただけかもしれない。どちらにせよ、一般的になってきたのはここ最近だろう。
俺も何度かお世話になっているので、置き配そのものに疑問はなかった。問題は、何も注文した覚えなんてない、ということ。
とりあえず、それを抱えて部屋に入る。一息ついてから差出人を確認すると、俺が利用している小説投稿サイトの名前が書かれていた。
「おいおい。これはこれで、不審な話だぞ?」
思わず独り言を口にしてしまう。
その小説投稿サイトからは「キャンペーンの抽選に当選しました」ということで、ほんの2日前に特製タオルが送られてきたばかりだ。
また何か当選したのだろうか? 先日のタオルの件以外に、それらしきキャンペーンが行われていた心当たりはないのだが……。
「もしかして……。間違ってタオルが二度送られてきたのか?」
その場合、正直に申し出て返すべきか、あるいは、これ幸いともらってしまうべきか。
少し「取らぬ狸の皮算用」的な想像をしながら、小包を開くと……。
「なんじゃこりゃ?」
中から出てきたのは、四角くて黒い枠。
A4サイズくらいの額縁だった。
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