決着

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決着

 アレクシスが振り下ろした剣が、”ギィイイイイイインッ!!”と音を立て、火花を散らしながらツヴァイハンダーと激突する。  その衝撃は風となり、強風が辺り一面に吹き荒れていく。 「……えっ?!」  二人の様子を固唾を飲んで見守っていたティナは、意外な光景に目を疑う。  そしてトールと切り結んでいたアレクシスもまた、自分の手元を見て驚愕の表情を浮かべている。 「ば、馬鹿な……っ?! 何故剣が折れるっ?! 祝福を受けた剣が、どうして……っ?!」  アレクシスは、真っ二つに切られた白い剣を見て絶句する。先程まで光り輝いていた剣は光を失い、ただのガラクタと化していたのだ。  聖騎士が持つ剣は、ラーシャルード神の加護を授かっている。そして神聖力を注ぎ込むことによって強度が増し、大岩でさえも真っ二つに切ることが出来るはずなのだ。  もしアレクシスの剣が伝説の聖剣であったなら、その威力は空を裂き月にまで届いていただろう。 「どうしてって、信仰心が足りないんじゃないの?」  アレクシスの首元に、ツヴァイハンダーの刃を突きつけたトールが辛辣な一言を放つ。 「……っ!!」
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