決闘

8/9
666人が本棚に入れています
本棚に追加
/664ページ
 アレクシスの持つ剣が、魔力を帯びて青白く光る。さすがは聖騎士ということか、光り輝くその姿は神々しくすらあった。 「うーん、眩しいなぁ……」  ラーシャルード教の信徒なら、泣いて喜び祈りを捧げる聖騎士が放つ光も、トールにとってはただのエフェクトに過ぎないらしい。なんだかとても鬱陶しそうだ。 「黙れっ!! お前のような異教徒はこの俺が殺すっ!!」  さっきからラーシャルード神に対する信仰心や敬意が全く感じられないトールに対し、とうとうアレクシスの堪忍袋の緒が切れたようだ。  アレクシスから放たれた強烈な殺気が、離れたところにいたティナにも届いてきた。 「な……っ!! アレクシス!!」  本気でトールを殺そうとするアレクシスを止めるために、足を踏み出そうとしたティナだったが、腕の中でアウルムが身動いだ気配に、思わず足を止める。 「あ……っ、そうだ、アウルムが……」  獣魔契約を終えたアウルムはずっと眠ったままだった。しかし、アレクシスの殺気の影響で、眠りから覚めようとしているのかもしれない。 (どうしよう……っ! アウルムをどこかに寝かせる……? でも……っ!)
/664ページ

最初のコメントを投稿しよう!