決着

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 ──それは、アレクシスが実はラーシャルード教教皇の息子であり、兄は若くして枢機卿で、実質アコンニエミ聖国を支配している、と言っても過言でない一族の出身だという事実で。  そしてティナを大聖女として聖国に迎え入れる為、王国の欲深い神官たちを影で煽り、フレードリクにティナを裏切るよう仕向け、王国に見切りをつけさせようと画策していたのである。  汚い手を使ってでも、アレクシスは自分だけの聖女として、ティナを手に入れたかったのだろう。その己の欲が聖国の思惑と一致したのも幸いだった。  聖国の協力のおかげで、アレクシスの望みまで後もう少し、というところまで来ていたのだ。  しかしその計画は、聖国の上層部の極一部の人間しか知らず、更に制約魔法で秘密が漏れないように対策している。  聖国の大神官でもないトールが知っていること自体、異常なことなのだ。  まるで恐ろしいモノを見るような目を、アレクシスに向けられたトールだったが、本人は全く意に介さずティナのもとへ踵を返す。 「お待たせティナ。モルガンさんたちの所へ戻ろうか」
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