決着

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「……うん、お疲れ様。私のために戦ってくれて有難う。トールが勝って本当に良かった」  ティナはトールに微笑みながらお礼を言うと、今度は心配そうにアレクシスを見る。 「ねぇ、トール。アレクシスはあのまま放って置いていいのかな……?」  余裕で勝てると思っていた相手に負け、あれだけ執着していたティナも諦めなければならず、更には王国のみならず聖国にまでティナのことを伝えなければならないのだ。その喪失感と労力は相当なものだろう。  トールは絶望しているアレクシスを一瞥しながら言った。 「多分大丈夫だと思うよ。これを機に成長してくれたら良いけど……まあ、本人次第だね」  アレクシスがティナを想う気持ちは本当だった。  もし彼の思惑通り事が進んでいたら、今頃ティナは聖国に連れて行かれていただろう。  そうなれば、もう二度とティナとは会えなくなっていたはずだ。  ティナが婚約破棄された時、彼女が神殿を頼らず、ベルトルドを頼ったことは僥倖だったな、とトールは思う。 「……ねえ、聞いてもいい?」 「ん?」
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