決着

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 トールの過去がどうあれ、彼は生きるために強くならなければいけない環境にいたのだ。そんな状況でトールがここまで強くなったのは、彼が相当努力したからだろう。 「え、えっと……。その、すごく大変だったでしょ? よく頑張ったね」  だから生きる努力をしたトールを、ティナは褒めてあげたくなった。 「……っ、ふふ。有難う」  返事に困っているティナが可愛かったのか、褒められて嬉しかったのか、トールの口から笑い声が漏れる。  トールの目は見えないのに、何故か見つめられているとわかってしまう雰囲気に、ティナは別の意味で困ってしまう。 「約束したからね。絶対死なないって」  不意に、トールが呟いた。 「約束……?」  その呟きを聞いたティナが、トールの顔を仰ぎ見ると、何となく彼が遠い目をしていることに気付く。 「……うん、昔にね。とても大切な人と約束したから。だからその人ともう一度会うために、俺は死ぬ訳にはいかなかったんだ」 (トールの、大切な人……)
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