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「有難う。じゃあ遠慮なく休ませて貰うよ」
「うん! ゆっくり休んで魔力を回復させてね。トールには助けて貰ってばかりで、私にはこれぐらいしか出来ないけれど……」
確かに、神聖力に満たされたこの結界なら、トールの魔力も急速に回復するだろう。
「俺はティナと一緒にいられるだけで十分だけど……。じゃあ、一つお願いしてもいいかな?」
「えっ?! 何なにっ?! 何でもするから遠慮なく言って!」
珍しくトールから「お願い」があると言われたティナは、二つ返事で頷いた。
ようやく自分もトールの役に立てると嬉しかったのだ。
「今日で王国での最後の野営だし、一緒のテントで寝て欲しいんだけど」
「……っ?! えっ!! い、いいいい一緒にっ?!」
「うん。せっかくティナと冒険に出たのに、ずっと別々だったから寂しかったんだ。ティナと話したいこともあるし……駄目かな?」
少し寂しそうなトールの様子には、全く下心を感じない。むしろ変に意識してしまっているティナの方が、考え過ぎのような気すら起こってくる。
(それにさっきかまってって言われたところだし、私もうんって言っちゃったし……!)
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