大精霊

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「わぁ……! すごい! 沈まない! すごく不思議……!」  ティナが歩くたびに波紋が湖面に広がっていく。その光景は幻想的で、まるで夢の中のようだと、ティナは感動する。  しかも自身が羽根になったかのように、体が軽やかだ。 『ティナー。どこ行くのー? 僕も行くよー』  湖を歩いていくティナにアウルムも付いて来た。アウルムが跳ねるたびに波紋が広がる様は、水遊びではしゃいでいる子犬のようでとても愛らしい。 「ふふっ、アウルム可愛い! あのね、精霊さんのお手伝いに行くんだよ」 『精霊のー? 僕もお手伝いするのねー!』 《まあ! フローズヴィトニルの子も手伝ってくれるの?》 《とても嬉しいわ!》 《優しい子ね!》  精霊たちが嬉しそうにくるくると飛び回る。もし人の姿だったら踊っているように見えるかもしれない。  ティナは精霊たちが舞う光景と、湖やその湖を取り囲むように聳える山々の美しさに感動する。  今は新月に近い三日月だが、これが満月になったらきっと、さらに素晴らしい光景となるだろう。
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