695人が本棚に入れています
本棚に追加
ティナは美しすぎる光景を見て、無意識に涙を流す。感動で胸が詰まって泣くなんて、生まれて初めてだ。
《この実の一つ一つに精霊が宿っているわ》
《光が満ちたら精霊が生まれるのよ》
《ルーアシェイア様が力を分け与えているの》
ティナは泣いてばかりではいられないと涙を拭うと、自分の気を引き締めた。
精霊たちが手伝って欲しいと言うのだから、この精霊樹に何か問題があるのだろう。
「もしかして、ルーアシェイア様の力が弱まっていることが、精霊樹にも影響しているんですか?」
ティナは精霊たちが置かれている状況を理解した。これまでの話をまとめてみると、自ずと答えは見えてくるのだ。
《そうよ。精霊がなかなか生まれてこなくなっちゃったの》
《このままでは精霊の数が減り過ぎちゃうわ》
《そうなると世界中に瘴気が溢れちゃう》
「えっ……?!」
精霊と瘴気が関係あると知ったティナは衝撃を受ける。
何故なら精霊を否定しているラーシャルード教の教えは、瘴気を溢れさせることと同義だからだ。
最初のコメントを投稿しよう!