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『死にたいと思う気持ちにどうか弔いの花を
祈りの墓標を 優しい涙を 愛しい光を
たったそれだけでいい』
桜の花びらと一緒に残されていた伝言。
淡い花は風に乗り、海を越えた。
口には出さないが、はっきりと覚えている。
あの日から、私の人生が決まってしまった。
色を失ってしまった。
私の心は死んだも同然だ。
死になれば、あなたの元へ行けるだろうか。
「私の世界に色がないのは心がないからだ。
そっか……そっか……」
桜の花は白く、遠い世界を思わせる。
長くゆっくりと息を吐く。
冷えた空気に暖かいかどうかもわからない白色の煙が生まれる。
今さら心なんてものはどうでもいい。
ただ一つ、色づく世界を見てみたかった。
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