第二章・―攻防戦―

2/5

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「本当にあの野郎、大丈夫なのかよ……」  最早毎回というか、オフィーリアが訪れる度恒例化している手合わせだが、今回はいつもとは違うようだと肌で感じているラキは、思わずそう呟く。  相手は人間だが、ヴァイス署の部長を勤めている実力者だと言う。  しかも、課長補佐コンビであるアンダーテイカーやシェイカー、そしてオフィーリア達の反応や会話から推測するに、ジョシュアは相当強いのだと理解出来た。  その実力はと言えば、つい先日乱入してきてオフィーリアと死闘を繰り広げたシャークとかいう“昏きもの”ですら、何故か敵わない相手であるらしいのだ。  そんなジョシュアとオフィーリアが、突然本気で闘うのだと聞かされれば、無意識の内にでも心配せずにはいられない。  今回の見学者はラキに加えてアンダーテイカー、審判役を任されたシェイカー。  そして、何故かオフィーリアに夢中になっている様子のレイカと、心配そうに見守るエルファリスとイースタン親子。  どうした風向きかは知れないのだが、不満そうな表情を隠さないケーニヒまでいる。  闘う理由が現在皆が集まっていて、未だに破壊跡が見受けられる道場の修繕費を誰が払うか問題などとは、物凄く格好悪い且つ情けなくて、あまり考えたくもないものであるのだ。  てっきりラキは、最初は気軽に課長補佐コンビが手合わせを止めてくれるものだと思っていた。  だが予想に反して二人共、止めるどころか抵抗する素振りすら見せなかったのだ。  我が上司ながら非常に情けない事態なのだが、いつもは不遜な態度を崩さず、仮にも元がつくとはいえ、四大霊鬼や直系の“昏きもの”を相手取り一歩も退けを取らなかった、当の本人であるオフィーリアですら、素直にジョシュアの言い分に応じている。  これらの事実から、よっぽどヴァイス署の部長とやらは恐ろしい存在なのかと、改めて見る。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加