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確かに、放つ迫力は常人のそれとは遥かに違うようであった。
オフィーリアの表情も、物凄くやりたくないという感情が滲み出ているようで、だったら辞退すれば良いだろうがと単純に思う。
「……」
だからといって、自分が止めるのは筋違いだろうし、何よりそうすれば、オフィーリアが怒るだろうと容易に想像出来た。
出逢った時から今までの時間は短いのだが、名前をきちんと呼ばれ始めたのは最近の出来事で、これで少しは自分も成長したのかと、内心受かれてはいたのだが……。
試合開始の合図をされてからも、お互い一切動いてはいない。
恐らく、オフィーリアは気圧されている。
そしてジョシュアは、自身が伴う迫力だけで圧倒しているのだ。
ヴァイス署というところは、こんなにもうじゃうじゃと、化け物チート級の精鋭が揃っているのかと、ラキは思わず武者震いする。
所属する場所はあくまでもイグレシオン署が良い。
だが、と――。
ふと、たった一瞬だけ自分がヴァイス署に転属する未来を想像してみた。
毎朝の出勤態度をオフィーリアから咎められ、シャークとか言う“昏きもの”にそれをからかわれつつ、上手い事躱しながらも仕事に取りかかる。
業務の合間に仕事仲間から鍛練の手解きっぽい事を受けてみたり、オフィーリアから書類の不備を説教されたりして過ごす毎日――。
容易に想像は出来るのだが、やはりどこかで違和感が生じるのだ。
そこはラキ自身の“居場所”ではない、と……。
自分がいるべき場所はイグレシオン署だ。
曲がりなりにもアンダーテイカー達を上司として認めているし、同僚に対してもまた然りだ。
きっと、オフィーリアもそこを理解しているから、度々遊びにくるようにはなっても、無理にラキの事をヴァイス署に引き抜いたりはしないのだ。
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