DV夫から逃げた私は優しいストーカー男を愛してしまった

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「朝になったら、ここに来るよ。明日は休みだから、一緒に過ごすこともできるよ。悩みがあったら言ってね」 知らない人の家のシャワー、ベッドを使い、服を借りる。普通じゃないけれど、それしか今はなかった。 夫のことが怖くて体が硬直する。震えている。 「夫が怖いの」 「俺で良かったら、なんでも力になるからね」 笑顔の真王はとってもかっこいい。 「怖かったら、一緒にいてもいいけれど、知らない俺といるほうが怖いでしょ」 気遣いができるイケメンって貧乏でもありじゃない? 彼の家は古い一軒家で親は他界していた。 家具や物が少なく整理整頓された部屋。 建物は古いけれど、土地や建物を所有しているフリーターって悪くないかもしれない。 「明日、朝ごはんを作りに来るよ」 「申し訳ないよ」 「お金ないんでしょ」 ♢♢♢ こうして、真王の誘拐は正攻法によってうまく成功した。 力づくでは逃亡されるし、犯人扱いを受ける。 しかし、本人の同意があり、困った人を助けるという体だと、犯罪にはならない。 つまり、夫の元には戻りたくないということは監禁のような状態を自然に作り出すことができた。 さらに、好意すら抱く。 すぐに、性的な要求をしない、紳士的な態度は相手を信頼という洗脳へ導くことができる。 真王は意外と計算高かった。 年収は低いが、意外と頭がいい。 彼は、生まれた家さえ間違えなければ、高学歴と高収入を得られたであろう。 しかし、高校を卒業することもままならかったので、定時制を選んでいた。 人は親を選べない。子供は環境も親も選べない。でも、好きな相手は自分で選べる。
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