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ある、冬の日。両親の用事で幼稚園の残ってて、バスの先生が戻ってきた時驚きのことを告げられたの。
「柚君、藍衣ちゃんがいなくて寂しそうだったよ」
寂しそうに前の席の背もたれに寄りかかってる柚が、まぶたの裏に浮かんだわ。
柚も、そう思ってくれるんだなって。
安心感と、柚が気になってしょうがない気持ちで、私の心は渦をまいて、それは嵐のように激しかったわ。
でも卒園しても、柚とは同じ学校だし『別れる』って悲しさはなくて、でも小学校は不安で仕方がなかった。
卒園するのが寂しくて、悲しくて、私は卒園式の数日前に泣いちゃったよね?
覚えてる?
私は鮮明に今でも覚えてるよ。
帰りの会で急に涙が溢れてきちゃって、柚が先生に言ったの。
「藍衣が泣いてる」
先生は駆けつけてくれて、『どうしたの?』って優しく聞いてくれた。
私は『卒園するのが寂しい……』そう答えた気がする。
ゆっくり頷いてくれて、先生は抱きしめてくれた。先生の腕の中から、柚の顔がちらっと見えたの。
首を傾げて、心配してくれてるような表情。
ありがとう、柚。心配してくれて。
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