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純白のウェディングドレスを着た花嫁が手紙を読み終える。
レースで出来た袖に、何重にも重ねられたスカート。長いトーンベールは、花嫁の美しさをより一層際立てている。
「本当に、幸せにします……」
涙を流しながら、花婿は花嫁に告げた。
高い天井から見下ろすこの景色は、何回見ても素晴らしい。
この夫婦も、永遠の幸福に溢れるように願う。
カーン カーン
高く弾んだ鐘が鳴った。
おっと、そろそろ森へ戻らないと。
俺は、結婚式場で式を挙げる夫婦を見守りにくる蝶。
良かったな、花嫁の願いが叶った。
幼い頃に願った『柚のお嫁さんに、なりたい』
普段は願いなど叶えないが、あの花嫁の瞳は他の奴とは違う。快晴の空のように澄んでいる瞳。
そんな瞳に見つめられて、言われた叶わざるおれん。
おめでとう、花嫁に花婿。
心から盛大に祝うぞ。
(ありがとうございます、蝶さん)
花嫁の弾んだ声は、蝶の心にいつまでも刻まれるのであったーー
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