<14・Enjoy>

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「そういうことについても、あいつと話すのね……お兄様は」 「まあね」  セリーナが抱えたドレスをつんつんとつついて、リオは言った。 「テニスクラブの後に、ちょっとした立食パーティが催されることも多いのさ。テニスは昔から貴族に愛されるスポーツだからね。運動したあとに、ちょっと高級な立食パーティに参加してお開きになることが多くて……トレイシーとも何度か参加していたんだよ。で、綺麗な服着た紳士淑女が多いだろう?トレイシーに尋ねたのさ、どういう女性が好みなのかって」  ちなみに僕は巨乳が好きだな!とリオはにっこり笑顔でドヤってくる。 「でも、ただの巨乳は嫌なんだよ。やっぱり女性は上品でなくっちゃ。胸元が大きくあいたドレスで谷間ががっつり見えるのはなんだか品が無くて好きじゃないんだよね、性的なものをこれでもかとアピールしているってかんじがして。そうじゃなくて、きっちり首元まで着込んだ服から巨乳ががっつり分かるってのがいいんだよ。でもって、胸だけじゃなくて、お尻もむっちりしている方が好きだし、腕や足もガリガリがちょっとね。というか、胸だけが不自然に大きい女性より健康的なぽっちゃりさんが好みで……」 「あー、お兄様の好みは聴いてないから。トレイシーは何て言ってたのよ」 「あ、ごめんごめん。トレイシーはというと、彼は結構変わっててさ。女性の好みじゃなくて、服の話ばーっかりしてるの。あのドレスの方が可愛いとか、あっちの方が趣味がいいとかそればっかり。結局、どういうタイプが好みなのか殆どわからなくてさ」 「ええ……?」  きっと、リオの方はパーティでも、男同士親戚同士だからと明け透けに巨乳好みの話をしたのだろう。大人しい見た目で割と大胆なことを言うのがこの兄である。なんなら下ネタも大歓迎だよ!と笑っていたのはいつのことだったか。この可愛らしい顔で、結構女性関係が派手なこともセリーナは知っているのである。ああ、セフレなんて言葉、兄が言わなきゃ自分は一生知らずに済んだかもしれないというのに!  とはいえ、それはそれとして。そんな兄のテンションに引っ張られずに、服を着ている中身の話ではなく服の話ばかりとは。想像していたが、トレイシーはかなり変わり者である。 「近年は、スカートが短いドレスも流行しているだろう?あと、ミニスカートの運動着とか……テニスの女子選手の服もミニスカートが多い。でもトレイシーはそういうのは好ましくないと思ってるみたいでね。はしたないというより、見た目の美しさも微妙なら機能性もイマイチだからとかなんとか」  まったく面倒な奴だよね、とリオは顎に手を当てて難しそうな顔をする。
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