番ことも

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「魔力足りるかな?」  フィートルは卵の殻にを当てて、ゆっくりと魔力を注いだ。卵はリシュデリュアルの髪の色に似た輝きを放って、また微かに揺れた。 「今日の分は足りたかな?」  フィートルはそのまま卵の隣に寝転んだ。 「夕飯は、何か希望あるかな?」  リシュデリュアルが聞くと、フィートルは首を横に振った。フィートルは、食に対してほとんど興味がないらしい。王族であると言うのに、特に好物もなく出されたものを黙って食べる。少し食が細いのが気になるところだ。 「あのね、天帝様に挨拶に行かないと、なんだけど」  言いにくそうにリシュデリュアルが切り出した。 「正式に番と認めてもらうためか?」 「うん、そうしないと、また誰かが来てしまうから」 「興味ないんだがな」 「僕は、ちゃんとしたい。僕のだよって…」  リシュデリュアルが力説しようとした途端、フィートルかリシュデリュアルの髪を引いた。  そのままフィートルの上に倒れ込むような体勢になってしまった。 「案外可愛いことを言うんだな」  リシュデリュアルが、フィートルの胸に顔をつけている体勢になって、フィートルがリシュデリュアルの頭を撫でる。 「天帝の前でなにかするのか?」 「天帝様の名のもとに番の宣言をするんだよ」 「なるほど」 「卵を成しているから、遅くなっちゃったけど、初めての発情期で卵を成せるって凄いことなんだよ?」 「お前がやりたいようにすればいい」  フィートルが優しく頭を撫でるので、リシュデリュアルはそれに甘えた。自分の望みを聞いてくれる年下の大切な番。  宣誓をすることによって、守れるのだから、しない訳にはいかないだろう。
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