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「いいね~ひなこちゃん。ナイススマイル」
カシャッ、カシャッ、とシャッターを切る音が心地よい。
ホテルのプールサイドに座り、麦わら帽子のつばを指でなぞる。
「いいねぇ~目線あっち、そうそう。可愛い!!」
カメラマンの龍生は長身でイケメンだ。
ひなこは龍生にほのかな恋心を抱いていた。
「バッグ変えようか。前髪なおして」
龍生はカメラを置いて水を飲む。
ヘアメイクさんに髪を直してもらいながら、ひなこはチラチラと龍生を盗み見る。
歳はいくつくらいなんだろう?結婚してたりするのかな?
ペットボトルの水が減っていくのに比例して、龍生の喉仏が上下に大きく動く。
女には無い不思議に動くその物体に、ひなこは言い難いセクシーを感じてしまう。
ふいに目が合う。
龍生がひなこを見て言った。
「ひなこちゃん。水分とった方がいいよ?顔が赤くなってる」
「あ・・・・はい」
ひなこはますます赤くなる。
ヘアメイクさんがフフ、と笑う。
「ひなこちゃん分かりやす過ぎる」
「だってぇ。龍生さん素敵なんだもん」
「ですよねぇ。モデルからも人気ですもん」
「彼女、いるのかなぁ?」
「今、いないんじゃないですかねぇ。この間、別れたって言ってたから」
「えっ!?」
思わずひなこは手で自分の口を押さえた。
やばー。
ワンチャンあるってこと!?
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