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オダマキの目がギラリと鈍く光った。
「この、コロッセオの中で生きて頂くのであります!!」
その言葉を聞いた途端、会場は拍手喝采、足踏みをして喜びを表現している者まで居る。
「コロッセオの中って、どういう・・・」
疲れきったあやのより先に掛井が聞いた。
「その言葉通りですよ。囚われの身になり、コロッセオで最も大金を支払った方の性的なお相手をして頂くのです。そして、その様子は特別待遇の別のお客様に観覧して頂く・・・。
合理的なお金の生み出し方であり尚且つ、誰1人として血を流さないやり方だ」
掛井は唾を飲み込んだ。
そして、あやのを見た。
「イヤよっ。そんな、そんなとこ見世物にされて一生を終えるなんて、まっぴらゴメンよっ!!お願い、編集長、私を今すぐに・・・この場で私を殺してっっ!!」
あやのは、すがるような瞳で掛井を見た。
掛井は一瞬、あやのに同情心が沸き上がってきたが、あやのが龍生にした事を思い出して、その自分の気持ちに蓋をした。
「その案に乗ります・・・・」
パッパラッパラッパー♪♪
パッパッパッパラッパラッパー♪♪♪
祭りでも始まるかのような陽気な音楽がコロッセオを包み込む。
よほど久しぶりにこの案が採用されらしく、人々の表情は高揚していて掛井が見ていても気持ちが悪いほどだった。
「いやっ!いやよっ!触らないでっっ!!」
あやのは両腕を抱えられ、制服姿の看守2人に砂の上を引きずられるように広場から退場していく。
「助けてっ!オダマキさんっ!編集長っ!!いやっ!いやぁぁぁぁーーーーっっ!!」
バタンッッ!!
分厚い鉄の扉が閉まった。
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