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「今日は本当にお疲れ様」
「お疲れ様です。ありがとうございます」
ひなこはグラスを傾けて、乾杯をする。
ライトアップされた噴水が大きくなったり小さくなったりして目を楽しませてくれる。
「素敵なお店ですね。龍生さんの行きつけですか?」
「ああ。大学の時の同期がやってる店なんだ。センスの良い奴でね。料理の腕もなかなかだよ」
「なんだか嬉しい。そんな親しい方のお店に連れて来て頂けるなんて・・・・」
ひなこはグラスの中をキラキラと舞う泡に見とれて言った。
やはり、好きな人と一緒に飲むシャンパンは簡単に酔いが回る。
「そりゃあ、ひなこちゃんは特別だから。粗相があっちゃいけない。編集長にもそう釘を刺されているしね」
「掛井さんに?掛井さんとは仲良しなんですか?」
一瞬、間があった。
その間がすべてを伝えているようにひなこには感じた。
龍生のスマホが鳴る。
「ちょっとごめん。仕事の電話」
龍生が席を立つ。
退屈しのぎにひなこもスマホを出してSNSをチェックする。
#急上昇 の記事を順番に見ていると急上昇5位に望月あやのが居た。
@ayano. mochizuki
Diorのバッグの新作。大好きな彼にプレゼントして貰っちゃった♡
コメント数859件。
いいね 3055件。
「ふぅん。Diorの新作ねぇ・・・・」
意味ありげにひなこは微笑み、リプライする。
@hinako. suno
Diorの新作プレゼントしてくれる彼氏さん優しいですね♡素敵な男性なんだろうなぁ?
2ショット希望!!(笑)
ひなこはエヘ、と舌を出す。
「載せられるもんなら載せてみなさいよ。どうせパパ活やってんでしょ?ステディな彼氏なんかじゃないわよね?」
ひなこのコメントにいいねが付いた。
あっという間にいいねが増えていく。
すげ、これって須野ひなこじゃね?笑
あやのにリプライしているのが須野ひなこだと知って、ひなこのコメントのいいねが倍増した。
「さぁ、どうする?あやのちゃん?」
と、ひなこは1人ほくそ笑む。
そこへ龍生が戻ってきた。
ひなこはスマホをバッグにしまい
「お忙しいんですね、有名カメラマンは」
と小悪魔みたいに笑った。
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