『はじめてのぼうけん』

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

『はじめてのぼうけん』

『あなたは大きくなったら、勇者として魔王を倒しに旅立つのですよ』  みこさま、というおばあちゃんの言うことは、むずかしくてよくわからない。みんな、ぼくにあたまを下げて、ゆーしゃさまゆーしゃさま、って、呪文みたいにとなえるんだ。  ぼくにはよくわからないことだらけ。だけど、この白い大きなたてものを出て、ひろい世界をどこまでもゆくのは、楽しみだな。 「はやく、はやくう!」  友だちが手をふって、ぼくをよんでる。はじめてたてものの外につれだしてくれた、角の生えた友だち。  知ってるよ、ほんとはなかよくしちゃいけないって。でも、だいじな友だちなんだ。  手をとりあって。ぼくらははじめてのぼうけんに心はずませて、走る。 297文字。 『毎月300字小説企画』第1回お題『初』。 何事もはじまりが肝心と言う事で、賑やかしに参加させていただきます。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!