壱 ・ 喧嘩上等

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「お前、見かけねえツラだが、あいつの女か?」 「ちっ、ちが」  違うと言おうとするのに緊張のあまり声が絡まって出にくい。 「これから峠で遊ぶのよ。おったまげるくらいギラッギラの夜景、たっぷり見せてやっから俺らと来いよぉ」  思わずぶるっと震え足が竦んでしまう。男はイラついたように私の腕を乱暴に掴んだ。手を振り払おうとしたら、いきなり抱きすくめられてゾッとする。 「ちょっと付き合うだけだろーが、なぁ、ねえちゃん」 「やっ……離してっ」  でもそれは一瞬のことで男が真横に吹っ飛んだ。
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