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レジに行くと、青白く細目で垂れ目の男性店員さんが眠たげに突っ立っていた。ぱっつんと切りそろえられた前髪とロン毛の毛先がグレーに染まっていて、背中にギターを背負うと似合うバンドマンみたいと会計をしてもらいながら思った。
外へ出ると冷たい風が真正面から吹きつけて来た。さむっと身を竦めた時、コンビニの駐車場の片隅の植え込みの前で誰かが身をかがめているのに気がついた。大股を開き、手を動かしている黒い特攻服の背中に街灯に照らされた金色の刺繍文字がぎらぎらと光っている。
「喧嘩…上等」
いかにもヤンキーという恰好の人物を見たのは久しぶりだったので思わずその文字を読んでしまった。
するとその金髪の髪を立てた人は横向きになってポケットに手を突っ込んで、あったあったと独りごちると何かを取り出した。
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