02:乗客

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 僕の隣にいた高月さんの存在を認めると、喜多川はヘラヘラとした様子で挨拶を交わしている。  どうやら状況を把握できていないらしく、彼女の問いに対して首を傾げていた。 「なんだこれは、一体どうなってる……!?」 「やだ、あたしどうしちゃったの……? き、清瀬先輩!」 「うわ、電車どうなってんだよ? これから三次会あるってのに」 「……どういう、ことだ……?」  目を覚ました喜多川から少し遅れて、ほかの乗客もどうやら意識を取り戻したらしい。  声のする方へと顔を上げた僕たちは、恐らく全員が驚愕したことだろう。  店長の澤部(さわべ)墨彦(すみひこ)、後輩の桧野(ひの)琥珀(こはく)、そして同期の福村(とおる)。  それ以外にも、顔と名前が一致する人物が六名ほど。  同じ車両に乗っていた全員が、顔見知り――僕のバイト先の関係者だったのだ。 「これって……偶然なの?」 「わかりません、だけど……普通じゃない」  勤めているバイト先の最寄り駅、最終電車。  同じ電車に乗り込むことはあるだろうし、そこまでなら偶然で片付いたかもしれない。
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