03:都市伝説

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「終着駅って言われても、ここがどこだかもわからないのに……あと何駅あるのか……」 「あれ、終点までの路線図じゃない?」  外は真っ暗で景色もなにも見ることができないのに、現在地なんてわかるはずがない。  そう思っている僕の肩を叩いたのは、上の方に視線を向けた高月さんだった。  彼女の指差す先を見上げてみると、ドアの上に設置された車内案内表示装置が、変化しているのがわかる。  そこには10の駅名が並んでいて、一番端に電車のアイコンが表示されていた。おそらくあれが、僕らの現在地ということなのだろう。  これから向かうらしい9つの駅名はともかく、現在地には見慣れた最寄りの駅名が表示されている。 「10駅あるから……残り9駅ってことか?」 「多分、そうじゃないかな。ひと駅ごとの間隔が、どのくらいあるのかはわからないけど」 「あのぉ……」  恐る恐る会話に割って入ってきたのは、高月さんの後ろで小さくなっていた桧野さんだった。控えめに片手を挙げて、僕たちの様子を窺っている。
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