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『次は、等活駅。次は、等活駅。お出口は左側です』
車内に響いたアナウンスに、全員が動きを止める。
車内案内に目を遣ると、たった今聞いたばかりの駅名が大きく表示されていた。
「これ……駅に止まるのか?」
「降りられるってこと?」
終着駅まで止まらないものと思っていた電車は、どうやらどこかの駅に停車するらしい。それを知った車内の空気が、いくらか和らいだのを感じた。
どこの駅でもいいから、電車から降りることができれば選択肢は増えるはずだ。
外の景色は見えないが、電車の速度が落ちているのを感じる。本当に停車するのか。
「……止まっ……た?」
半信半疑だった僕たちをよそに、少し強めのブレーキがかけられたようで、身体が傾く。
車体の揺れも完全に止まっていて、本当に電車が停車したのだとわかった。
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