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01:平凡な人生
僕の人生は、ごくごく平凡でありきたりなものだと思う。
清瀬蒼真という名を持ち生まれて、二十一年目の冬。
昔から、勉強も運動も平均的だった。いや、平均よりやや劣るくらいかもしれない。
人より得意と呼べることはほとんどなくて、Fランクの大学で影の薄い学生生活を送っている。
年齢だとか学歴だとか、少し上だからという理由だけで、立場以上に圧をかけてくる人間が嫌いだった。
それでも、そんな相手に反抗することもできない。
ちょっとした理不尽に不満を持ちながら、平凡な毎日を暮らしているのが僕という人間だ。
今日も、理不尽な理由で押し付けられたバイトのせいで、やむを得ず終電になってしまった。
大学から近いという理由だけで選んだ、居酒屋のホールのバイトだ。
本来なら20時には上がれていたはずだったのに、同期の福村に無理矢理シフトを交代させられたのが原因だ。
(今日合コンとか言ってたよな……ムカつく、急に下痢になれ)
苛立ちに任せて地面を蹴りつけてやりたくなったが、スニーカーが傷つくだけなので深呼吸をしてやり過ごす。
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