プロローグ

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プロローグ

  引き籠りだった私が、前世とよく似た世界に転生した。  現代日本と、前世でよく遊んでいたゲームの世界とが融合した世界。私はそこの、森に囲まれた「白蝶の国」の士官学校兼国主博毘家直属の伯毘(はくび)軍に入学、或いは入隊することになった。  現代並みに科学技術、インターネットの類も発達しており、それでいて使いこなせる人物が近所に殆どいなかったこともあり、世界の現状を周囲の人たちよりも知ることが出来たし、同じ転生者仲間の存在も知ることが出来た。  全体で合計5つの国それぞれに散らばった転生者たちと、専用の掲示板で知識の補完と情報共有を行い、休みが被った日には少し無理をして外に出て、カラオケしながらそれぞれの顔とニックネームを覚える。そんな子供時代を送り、遂に一族代々所属していた伯毘軍へ入隊したとき、次の2つの事実を知ることとなった。  一つ目は、現代と融合したファンタジー世界の、元となったゲーム本編では、本来既に「白蝶の国」は「蒼鳥の帝國」に伯毘家を滅ぼされ、吸収合併して消滅している筈であるのに、帝國側は侵攻も伯毘一族暗殺も何故か失敗し、国が現在も健在であること。  二つ目は、同期モブ生徒に紛れて、何故か私の別ジャンルでの推しがいること。    私は鳳仙 杜舞璃(ほうせん とまり)。なにやら凄そうな氏名と裏腹に、元引き籠りの女モブである。  イレギュラーだらけのゲーム世界、更にそのイレギュラーの中心に関わることになるという事実に、既に涙が止まらない。
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