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「じゃあさ、魔法についてまずは何から覚えれば良いの?」
「良い質問。最初に覚える事はズバリ、自分が使う魔法の危険性についてだ」
カイトは目の前の子供に対し、人差し指を立てながら告げる。
「危険性?」
「魔法が使えるようになれば、それまでには出来なかった色々な事が出来るようになる。けど、魔法はすげぇ便利であると同時にすげぇ危険なものでもあるんだ。使い方を間違えると自分自身や周囲の人達を危険に晒してしまう事にもなりかねない。そんな事にならないようにまずはその危険性について知っておくべきなんだ」
強い力にはそれ相応のリスクが付き纏う。
ルナが初めてカイトから指導を受けた時もこういった話から始まったのを今でも覚えている。
リスクを知り、その危険性を理解する事が自分や仲間を守る事にも繋がるからだと。
カイトは相手がまだ魔法使いにすらなっていない子供であってもルナの時と同じように、知っておくべき正しい知識を与えようとしているようだった。
「魔法の基本属性は主に五つ。まずは炎。こいつを扱う上での注意点は、周囲に燃え移ってしまわないように気を付ける事だ。余計な被害を出す事になっちまうからな」
あえて子供にも分かり易い簡単な例えで話を進めているのだろう。
同じくカイトの指導を受けているルナには彼の意図が分かるような気がした。
「続いて雷。こいつは自分の力で電気を生み出せてしまう魔法だけに注意が必要だ。小遣い欲しさに勝手に売電なんかしちゃ駄目だぞ?本部の管理者達に目を付けられたら面倒な事になるからな」
ん~、ん・・・?
何かちょっと変な方向に話が逸れて行ってるような・・・?
「続いて水。水を操るこの魔法の注意点だが、こいつはイタズラで女子には使うな」
「何で?」
「女に水をぶっかけるんだぞ?濡れた服が体にぴ~ったりと張り付いた姿を想像してみろ。色々大変な事になりそうだろ?特にワイシャツの場合とか凄そうだろ?スケスケのピッタピタだぞ?」
「た、確かに、凄そう・・・」
ゴクッと生唾を飲み込む子供達がこれまで以上にカイトの話に強い興味を示すようになっているのが見て取れた。
先程までのカイトへの彼女の気持ちは何処へやら。
気付けばルナは自分の額に手を当てながら深い溜息を漏らしていた。
あんのバカちんめ~。
子供相手に何て事言ってんだ、全く。
これ以上子供達の純粋さがカイトによって汚される前に止める必要があると感じたルナは足早に彼等の方へと向かって行く。
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