殺し屋と誕生日

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 これで、この話は終わりだ。  暗殺が遅くなったことで、マスコーネには報酬を減らされた。  少しばかり、殺し屋としての評判が落ちるかもしれない。  しかし、これでよかったのだ。  これは道徳的な問題ではない。  悪事の中に微細な善を混ぜたことによる満足でもない。  もっとも非人間的な仕事をしていると、全てを失わないために、人間的ななにかを、最低限、確保しなければならない。  ターゲットを特別な日に死なせることで、私は、それをしたのだ。  それは、銃ではなく鉄の爪を使って殺すことと、たぶん同じ理由である。  それだけの話だ。
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