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四日後の深夜。
私はふたたび、ビートの家に現れた。
もはや見張りは立っておらず、鍵という鍵は開け放しになっていた。
私はビートの部屋まで、家の中を歩いた。
家の中には、パーティーの残滓があちこちにあり、華やいだ空気すら、まだ残っているように思えた。
私は二階に上がった。
ビートが、この前と同じ机の前に座って待っていた。
「お孫さんは喜んだかしら?」
私が聞くと、
「いつになくね」
と、ビートは微笑んだ。
「奥さんにはお別れは言った?」
「ああ。しばらく泣いたが、今は落ち着いた。自分の部屋にいるよ」
私は、懐から、例の催眠スプレーを取り出した。
「これを使いましょう。これで眠らせてから、殺す」
「そりゃ、いくらなんでも優しすぎるんじゃないかな」
「思ったよりも、あなたを好きになったみたい」
「それは光栄だね」
「ええ。それじゃ」
私はビートの顔に、催眠スプレーを吹きかけた。
そして、その喉元に、鉄の爪を突き立てる。
「うっ」
といううめき声のあと、ビートは、だらりと手を下げた。
眠っているようにも見える、静かな死に様だった。
私は、ビートの机の上にあるニッパーをポケットに入れて、家を立ち去った。
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