どんな運命でも君といたい

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どんな運命でも君といたい

いつもの図書室にそよ風が吹く。 誰だって別れは悲しいことよね…。 私は本を閉じた。 「ミルフィ…」 ミルフィとの日々は宝石みたいでキラキラして、楽しかった。 人生で一番エンジョイしてたかも。 でも、ミルフィのためだもの。 仕方ない。 仕方ないんだ…。 「ゔぅ……」 昨日、あの後ミルフィはどうなったとか。 ミルフィがあのクロック(不審者)に捕まってないかとか。 ミルフィがずっと私を探し続けてくれてるんじゃないかとか。 いろいろ考えたよ。 でもね、私はもう、ミルフィを捨てて生きなきゃいけないの。 だから、しっかりしなさい!紀沙! 今までずっと独りぼっちだったじゃない! 大丈夫!私ならなんでもできるから! 「無理だよ…」 今の私は枯れた花どころではない。 ぐしゃぐしゃだ。 何もかもが全部全部…。 「紀沙!」 その無邪気な笑顔に何回救われたことか。ミルフィは知らないだろう。 「ミルフィ…」 「大丈夫?はいこれ。」 天使はなんでハンカチ持ってんの? 当たり前なの? なんて思えない。 目の前の大事な友達と別れなければいけないから。 どう、言い出そう。 黒瀬みたいに「もう、私に近寄らないでくださる⁉︎」みたいな感じがトゲトゲしくてわかりやすいかな。 それともやんわりと「ごめんね。私、もうミルフィと一緒にいたくないんだ」って感じ?いや、逆にそれ変じゃね? やっぱり事情説明からの別れの切り出しが一番かな…。 「紀沙?」 明るく天真爛漫な君が大好きだった。なんてポエムは心にしまう。 私は…。 「ミルフィと別れたくないよ…」 「紀沙、どうしたの?」 涙でぐしゃぐしゃな私でもミルフィはいつも通り。 優しくて、親しみやすくて、かわいくて、かっこよくて、こんな私でも受け止めてくれた。そんな大切な友達なんだよ。捨てられるわけないじゃんか。 「ミルフィ、あのね…」 私は昨日、公園であったこと、ミルフィの所在がバレてしまったこと、ミルフィと別れることを決意したこと、でも、できなかったことを全部話した。余すところなく話した。 「そうなんだ。紀沙。僕のこと知っちゃったんだね…。」 悲しげに俯くミルフィは大聖堂のタペストリーでもおかしくはないほど綺麗だ。って、タペストリーってなんだっけ? 「紀沙、僕はね、紀沙のことが大好きだよ」 ミルフィの手が私の頬に触れる。あったかいな。 「どんな状況でも紀沙だけは捨てられない。紀沙となんか別れたくない。僕は、紀沙と幸せになる未来がほしい!」 「ミルフィ…」 始業のチャイムが鳴り出す。 それはまるで悲劇の始まりを告げるのにふさわしかった。
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