天使活動について

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天使活動について

※枯れた花と傲慢な薔薇の数日前ぐらいの話。時系列ややこしくてすみません。そして、読んでくれてありがとうございます。                               maemayu 「ミルフィ。今日はどこに行くの?」 「今日は天使活動を手伝ってもらいます!」 とてもニコニコ笑顔で言うが、大丈夫なのか? 「天使活動って天使の幸せ配りのことだよね」 「はい!」 「私に手伝えることある?」 「もちろん!紀沙には手伝ってもらうことしかありません!」 「よくミルフィだけでやってこれたね」 「そっ、それは…」 ちょっと悲しそうに俯くので、聞かない方がいいとわかった。 「早速やっていこう。まずは何するの?」 「まずはですね!」 待ってましたと言わんばかりに勢いよく言われるので、少しびっくりする。 「僕は占う天使ですからこの土地を占います!」 「どんなふうに?」 「今回は辻占に挑戦しようと思います!」 「へぇ。聞いたことないな。」 「十字路に立って今後のことなどを口に出して言うんです。そして、聞こえる声が結果というわけです!」 「ふーん。なんか不思議な占いだね。」 「では、さっそくやっていきましょう!」 「何を占うの?」 「紀沙さんの願いを言うだけですよ」 「ってか、こんな普通の十字路でいいの?」 「いいんですよ。むしろこういうところの方がいいですよ。」 「そっか。じゃあ、ミルフィとこれからも一緒にいる。」 しばらく木の葉が風に揺れる音や、足音や、虫の羽音が聞こえてくる。そして、通りかかった人が言った。 「なんで、引っ越すの?」 「親の都合で…」 「なんで別れなきゃいけないの?」 「だって、俺が知らないところであやが他の男と一緒にいるとか我慢できなくて…。別れたら減ると思って…。」 「しゅうは私のこと大好きだし、私もしゅうのこと大好きだよ。それでいいじゃん。なんで、友達に戻らなきゃいけないの?」 「俺は、あやのためを思って…!」 「私はしゅうと別れたくないよ!」 あっれー?急に青春始まっちゃってるカンジー? 「そうですか…」 「どうしたの、ミルフィ?」 「僕と紀沙は世界の摂理みたいなものでいつか別れる日がくると思うと悲しくて…。」 「そんなことないよ!大丈夫だよ!」 強く手を握る。そして、言った。 「ミルフィと私は強い絆で結ばれてるから。別れるなんてそんなことできないよ…。」 「…」 沈黙が広がった。 「そっ、それよりも天使活動の方を…」 「今の辻占は何?」 「天使活動の前にリラックスしようと思って…」 「そう」 「では、いきますね!」 ミルフィの足元に魔法陣が広がる。上昇気流が吹き上がって飛ばされそうになる。そして、何よりも眩しい。眩しくて前が見えない。 「占い本オープン!今日困る人を教えてください!」 そして、光はミルフィの手に持つ本の中に集中した。前も見れるようになり、ミルフィの方を向く。ミルフィは平気でその本を見つめていた。 「ふむふむ。なるほど。いきますよ!紀沙!」 「えっ、あっ、うん!」 ミルフィによって繋がれた手にぐいっと引かれて慌てて走り出す。またあの日みたいな不思議なことが起こるのかな。そう思うとワクワクしてきた。 「みっ、ミルフィ!今の何っ⁉︎」 「今のは僕の力です。気にしないでくださいね。」 「えっ、わっ、わかった!」 ぐんぐん引っ張られる手がちぎれそうで怖いが、ミルフィにその気はないのだろう。それに、自分がミルフィの速さに追いつけばいい話。私はそう思って速度を上げた。 「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ、」 「ごっ、ごめんなさい。紀沙!」 「大丈夫だよ。ミルフィ。」 「そうですか…」 ホッとしたような顔を見せる。もう、かわいいなぁ。 「ターゲットはあの人です」 指差す方向には紅芋色のタートルネックにスラッとしたマーメードスカートの四十代くらいの女性だった。 「ミルフィ、どうするの?」 「わからないです…」 えぇ…。どうすれば…。 「紀沙が話しかけてください!」 「ちょっ、ミルフィ…」 「天使活動のために、お願いします!」 そう言われるとちょっと…。 「わかったから頭あげてよ」 「本当ですか⁉︎」 「本当だからさ」 これは仕方ないですわ。一肌脱いでやるか。 「こんにちは」 「あら、こんにちは」 女性は軽く会釈をして、急ぎたい様子だった。 「何か困っていることでもありますか?」 「優しい子ね」 微笑む顔には焦りが滲み出ている。 「私の大切なロケットペンダントを失くしてしまったの。本当に心配でね。」 「手伝いましょうか?」 「本当⁉︎」 「はい。もちろんです。」 「紫の宝石のように見えるわ。ネックレス部分は銀色。見つけたらこの番号に連絡してくれる?」 不安そうなご婦人。元気づけた方がいいかな。 「絶対に見つけます。安心して待っていてください。」 「ありがとう。お嬢さん。」 女性はすぐに走っていった。そういえばどこで失くしたのかの聞くの忘れちゃったな。まあ、ミルフィがいれば大丈夫でしょ!
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