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「ミルフィ!ミルフィっ!」
私は焦っていた。
あの時、ああしなければ…。
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
「ミルフィ。あの女性はロケットペンダントを失くして困っているって。」
「そうなんですね。では、探しますか。」
「いや、えっ?占いとかでなんとかならないの?」
「そんな占いは便利ではないですよ、紀沙。」
「そうなのね…」
どうしよう。すぐ終わると思ったんだけど…。
「紀沙!僕はこっち回りで探しますね。見つけたらここで会いましょう!」
そう言ってミルフィはピューっと飛んでいった。
羽があるって楽しそうー。
「さて。私も頑張りますか。」
腕まくりして気合いを入れた。
「おーい。ロケットペンダントさーん。おいで〜。」
私は草をかき分け、およそJKとは思えないことをしている。
ボランティア活動だと思えば…。
その時、私の目にはキラリと輝くものが見えた。
もしかして…!
私は手を伸ばす。
届け!あの人のために!
「……やった!」
それは見事に紫に銀のネックレス。絶対にこれだ!
私はすぐ、ご婦人に電話をかけ、見つけたと言った。
しばらくしたら、ご婦人が来て、ペンダントを渡すととても感謝を言われた。
「ありがとう」とか「優しい子ね」とかさまざまな感謝をいただいて私の心はいっぱい。
これが天使活動か。いいね。
ご婦人と別れた後、ミルフィとの待ち合わせ場所に戻った。
ミルフィはいつ帰ってくるだろう。そう思いながら、ベンチで昼寝を開始した。
「アレ…?……今、何時……?」
私は時計を確認する。もう午後六時⁉︎
私は慌てて周囲を見渡す。
ミルフィはどこにもいなくて、あるのは遊具だけだった。
ミルフィはどこ?
そこから私は走り回った。
ミルフィと呼びながら走り続けた。
元の場所に戻ってもいなくて、心配になる。
迷子?それとも誘拐⁉︎
どうしよう‼︎
私は内心パニックである。
あの時、気をつけてって言えば。
あの時、一緒に探そうと言えば。
あの時、一人は危険だと言えば。
もう何もかもが遅い。
私は泣きそうになる。
こんなの前だったら平気なのに。
ミルフィ、どこ行っちゃったの?
その時、天使の羽が見えた気がした。
ミルフィかと思い、振り向いたが、別の人物だった。
「大丈夫ですか?」
「ああ、はい…」
「でも、頬が涙で濡れています。これを。」
上等なハンカチを差し出されて戸惑う。
マジでこれ使っていいの?
「レディの涙は紳士として許せませんね」
「あっ、どうも…」
なんかこの人キザだな。でも、これが『貴公子』ってヤツだろう。
「で、どうしたのですか?」
「ハンカチありがとうございます。洗ってお返しした方がよろしいですか?」
わざと話を逸らす。
この天使にミルフィは関係ないから。
「洗わなくて大丈夫です」
黒いハンカチを受け取った天使はこちらを見つめる。
そして、数秒の沈黙の中、天使は言った。
「お嬢さんは私を困っていることに関わらせないようにしていますね」
それがなんなのだろう。私の自由じゃないか。
「普通、天使を見たら、天使の幸せを望むのが当たり前だと思うのですが…」
「そうなんですね」
貼り付けた笑みを返す。
もう、お前は関係ない、という意味を込めて。
「ならば、私の悩みでも話しましょうか」
なぜそうなる。と思ったが、気にしないことにした。
「実は、最近。ある天使が天界から逃げ出しましてね」
「はぁ…」
「その天使は皆からバカにされ、笑われてきました」
「そうなんですね」
「その天使は『カミサマ』の近辺管理を主に担当していて、仕事量の多さ、職場環境の悪さ、上司の愚痴と罵詈雑言で何度も異動届を出していたようです。全部『カミサマ』によってもみ消されていたようですがね。そして、五年目にして逃げ出したようです。」
それは環境がマジで悪すぎたせいなのでは?と少々思いつつ、耳を傾ける。
「その天使の肩書きは占う天使と言いまして、占いで未来を変えれるという信じられないようなことをするのです。この天使を捕まえてこいとあの『カミサマ』に言われまして、探しているわけなんですけども、隠れるのがうますぎて、私、苦労しているわけなんですよ。」
「…」
占う天使?
それってミルフィのことじゃない?
まさか、ミルフィってブラックな職場でヒーヒー言いながら働いていたなんて…。
まさかの過去にちょっと驚く。
「まさか、あなたこの天使を知っていると?」
「へっ!いや、そんな、まさか、ねぇ…。」
この天使にミルフィのこと言ったら絶対ダメ!
ミルフィがまたブラックの餌食に…。
「そうですか。ところで、そちらの困りごとはなんとか解決できそうですか?よければ私が手を貸しますが。」
「だ、だ、だ、大丈夫です!あっ、今日はありがとうございましたっ!さようならー!」
足早に逃げようとしたら腕を掴まれる。
今そんな少女マンガいらないから!
「夜道は怖いですからね。送っていきます。」
「はっ、はい…」
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