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プロローグ
今日も私の生活はスリッパを借りることから始まる。
ご親切ではない誰かが丁寧に隠した上靴を探すのは面倒だった。
初めてやられた時は一生懸命探した。けれど、見つけた時には夜も深くなっていた。帰ったら孤児院の先生にしつこく怒られた。
あと一年。私は社会人になる。楽しい青春がほしい。少しだけでいいからほしかった。誰か天使が叶えてくれないかな、なんて願いながら何年も何年も経った。
「天通さん。いいかげんにしてちょうだい。校則で上靴は義務化されているでしょう。あと一年で卒業だからって、一年生に示しがつかないじゃない。」
「すみません」
「謝ったらそれで終わりなわけないでしょう。高校生なんだからしっかりしなさい。これだから、親ナシは。」
「すみませんでした」
誰のせいで、誰のせいで親ナシになったんだろうね。わかんないよ。
だから、私に “普通” をください。
私に “幸せ” をください。
“希望” をください。
ねぇ、いるんでしょ?天使さん。
占う天使 -リメイクのリメイク版- 始まり
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