I want to be a dead person!

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 ──わたしは、持てる者は与えなければ、と常日頃から思っている。それは莫大な富と権力を持つ家庭に生まれたこども故、幼い頃から言い聞かせられていたことだった。ノブレス・オブリージュ。貧しい者には生きる為の物資を。助けを求める者には救済の手を差し伸べる。  それが責任であり、義務なのだ。  だから、わたしはできる限り誰かの力になりたいと思う。秘めた願いを、諦めてしまった祈りを、そっと掬い上げて叶えてあげたいと。  だから、わたしは今日も耳を澄ませる。わたしは特別、耳がいいから。他人が隠した願いも、投げ捨てた祈りも、何もかも聞こえてしまうから。 『あの子みたいになりたい』 『まぶしくて、かわいくて、そして心底から妬ましい、あの子になりたい』 『取って代わってしまいたい』
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