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わたしは、願いを持たない。
いや、願いといえば願いなのかもしれない。これは。けれど、誰に言っても笑い飛ばされてしまうのだ。おまえ、まだそんな夢見てるのか、なんて。ああもう心底腹が立つ。思い出すだけでむかむかしてきた。
けれど、そんなかれらの願いも、わたしは叶えようと思うのだ。人間ひとりひとりに区別はなく、ならば救いも平等に齎されるべきだ。個人的な主観で与えないなど、実に馬鹿馬鹿しい。
だから、わたしは耳を澄ませる。かれらの願うこと。心の底に秘めた熱情。泣きたくて、泣けなくて、でも祈るのをやめない。そんなかれらの、願うこと。
それは案外、簡単なことだ。単純明快、わたしでもすぐに理解できるようなこと。
『大人になんてなりたくない』
『大人になる前に、死んでしまいたい』
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