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「立花」
(これって)
どういうこと? と、後ろ手で障子を閉め、ベッドで寛いでいた美女の姿を隠した青年は彼方の目の前で気怠げなため息をつくと、
「別れたいんだけど」
と、事も無げにその言葉を彼方の鼻頭に投げつけた。
「――…は?」
「その目で見たんだから、分かんだろ? …俺、今あの子と、付き合ってるんだよね」
「はあっ? ち、ちょって待てよ。立花、自分がなに言ってるのか分かって話してるっ?」
「分かってるけど?」
「オレとお前はっ、付き合ってるからこうしてこのアパートで二人暮らししてるんだよな?」
「…」
「っ、ここで一緒に生活するって決めた時、家賃は折半するって約束だったのに守ってくれたのは最初の1か月だけ、しかもそのあとの生活費だってオレ持ちで…っ、でも、それは立花がまだ1年で、選択したシラバスを順調にこなせないからバイトもできないって」
「…あんたの」
徐々に早口になり、捲し立てるように話していた彼方の前で腕を組み、壁に寄りかかって冷淡な口調で言葉を漏らした男の声に、彼方はきゅっと唇を引き結んで押し黙った。
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